フルパッシブ矯正治療法のメリット・デメリット
ブログフルパッシブ矯正治療法とは歯列矯正治療法のひとつで、一般的なワイヤーによる矯正治療法が矯正用ワイヤーをブラケット(歯に装着した矯正器具)に縛る(押し付ける)方法(結紮法)に対し、フルパッシブ矯正治療用の特殊なブラケットによって縛らない(押し付けない=フルパッシブ)状態のまま行う方法を指します。
フルパッシブの状態のまま矯正治療を行うことで、ワイヤーをブラケットに押し付けない(ブレーキを踏まない)ので、柔らかい(力の弱い)ワイヤーを積極的に使う(アクセルを弱めに踏む)ことができます。
つまり、矯正治療を行う上で全ての矯正力を弱めることができ、結果として矯正痛がかなり軽減できると言われています。
矯正力を弱めることは、さらには歯にとっても、歯を支えている歯茎や歯槽骨にとっても負担が減り、そうすることで矯正治療の仕上がりや歯が長持ちすることに結びつきます。
歯を動かすには、歯根表面積にもよると言われていますが一般的に結紮法では下記のように言われております。
傾斜移動 50 ~ 75g
歯体移動 100 ~ 150g
直立 75 ~ 125g
回転 50 ~ 75g
挺出 50 ~ 75g
圧下 15 ~ 25g
(出典:Dr.Proffit の著書『プロフィトの現代歯科矯正学』)
例えばフルパッシブ矯正治療法では傾斜移動であれば25g程度でも歯を動かすことができます。
この矯正力の小ささをみれば矯正痛(矯正治療中の痛み)が少なそうですよね。
ではフルパッシブ矯正治療法には欠点はないでしょうか?
フルパッシブ矯正治療法を行う場合、矯正力(歯を動かす力)は極力弱く行っていくため、普段から歯ぎしりやくいしばりが強い場合はそういった力に負けてしまうため、なかなか予定通り歯が動ききらない場合があります。
無意識時の歯ぎしりやくいしばりは、一本の歯に対して体重の5~15倍の力がかかると言われています。
成人40kgの人なら、200~600kgの力がかかっていることになります。
これでは25g程度の力ではなかなか思うように動かなくなります。
こういった理由で、当院では治療開始前の検査結果や歯並び、くいしばりの有無などでフルパッシブ矯正治療法を行うか、通常の結紮法を行うかの選択をしています。
もちろん、矯正治療中の歯の動きによっても臨機応変に変更することもあります。
ご自身の歯並びがどのタイプか気になる方は、ぜひ当院の初診カウンセリングをお受けください。
お待ちしております。