異性化糖の話
ブログこんにちは 衛生士の松岡です
春らしい陽気の少ない日が続いていますが、春生まれのわたしはこの季節がいちばん好きです!
今回は院内勉強会で学んだ
『異性化糖』について書こうと思います
食品の原材料名をみると“ぶどう糖果糖液糖”や“果糖ぶどう糖液糖”と言う表記を目にしたことがあると思います。
これらは砂糖の一種で『異性化糖』という液状の砂糖です。
糖類の種類には最も小さい“ブドウ糖”や“果糖”などの“単糖類”があり、ヒトの細胞や細菌は、この最も小さい糖をエネルギー源としています。
ブドウ糖+果糖= 砂糖
異性化糖はトウモロコシやジャガイモなどのデンプンに“アミラーゼ”を作用させてブドウ糖を作り、このブドウ糖に酵素を加え一部を果糖にしたものが“異性化糖”という液体の糖です。
ブドウ糖+酵素果糖〔異性化〕=異性化糖
砂糖と同じ成分なので甘いというわけです
異性化糖の定義はこのようにされています。
①「ブドウ糖果糖液糖」
果糖が50%未満
②「果糖ブドウ糖液糖」
果糖が50%以上90%未満
③「高果糖液糖」
果糖が90%以上(ガムシロップなど)
砂糖と異性化糖は、1gあたりのカロリーは同じですが、甘さが違います。砂糖の甘さを100とすると、ブドウ糖は約70、果糖は約170となり、それぞれが半分ずつで砂糖の甘さになります。果糖が多いほど、甘みが増すということです。
さらに、果糖は温度により、甘さに変化が生じます。約40℃で砂糖と同じ甘さですが、それより低いと更に甘く感じます。しかし温度が高いと砂糖の60%の甘さになってしまうのです。
ホットコーヒーにガムシロップを入れないのも、ガムシロップには果糖の多い“高果糖液糖”が入っているからなんです!
大量に作り出すことができ、砂糖よりも3割も安い異性化糖はその特性を活かし、冷やして食べるお菓子などにも使われます。
さらには、缶詰やパン、焼き肉のたれや、麺つゆなどにも利用されます。
私達が知らないうちにたくさん食べているということです。スーパーからこれらを含む食品を取り去ると約8割が消えてしまうそうです!
また、むし歯を作るミュータンス菌はブドウ糖や果糖からも酸を作り出します!
そして、世界でも問題となっているのが、肥満の急増です。砂糖も肥満の原因なのです。それに伴いWHOも砂糖税を呼び掛けるほどで、その主なターゲットは“砂糖入り清涼飲料水”
なかでも、異性化糖の使用量と肥満の増加が一致するというデータもあるそうです。
問題となるのが、果糖の過剰摂取です!
異性化糖にも含まれる果糖は吸収されるとまず肝臓に行き、エネルギーとなり、直接血糖値を上げることはありませんが、その代わり、余った果糖は脂肪になり肥満につながります。つまり、果糖の方が太りやすいのです。そして、果糖は直接血糖値を上げないので、満腹感が得にくくなります!だから、食べ過ぎてしまうのです。
果糖といえば果物を連想すると思いますが、
果物には果糖の他にデンプンや食物繊維、ビタミンやミネラルなども豊富です。
果物を食べると食物繊維の作用で果糖がゆっくりと吸収されます。なので、自然の果物を適度に食べるのは問題ないそうです。
清涼飲料水の果糖は液体なので一気に、しかも急激に体内に入ることにより、吸収も早い。すると肝臓に多量の果糖が押し寄せる・・・
このように、むし歯だけでなく肥満予防からも、清涼飲料水の飲み過ぎに注意したいものです。